女性給食調理員は妊娠後に仕事を続けるべきなのか?実体験をもとに解説

2018年9月1日

はじめに・・・

コロナの影響で妊娠する方が急増中!?

外出自粛により10代の妊娠相談が急増したというニュースをご存知でしょうか?これは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一斉休校や外出自粛の長期化で、交際相手と一緒に過ごす時間が増えたことなどが一因だとみられているそうです。妊娠が急増したのは10代だけとは限らなそうですね。実際に僕のこちらの給食調理員の妊娠記事も最近になりアクセスが伸び続けているので、その背景にはきっと外出自粛の長期化が関与しているのだと思いました。

 

あっくん
今回はそんな方々のためにも本記事が少しでも参考になれば幸いです。それではご覧下さい。

 

どうも、学校給食調理員のあっくんです。今回は給食で働いてる女性ならではの問題。

『給食調理員の妊娠について』

身近な人の体験談をもとに、わかりやすく解説していきます。

 

今、現在、女性給食調理員の方で、

・生理がこない、妊娠したかも?!

・重労働である、この仕事を続けて大丈夫かな?

と、色々な不安を抱いている方、いらっしゃるかと思います。

 


※この【重労働】について、他の記事で詳しく書いたものがあります。詳しくは、『学校給食調理員の仕事は重労働!職業病対策に効果的な予防方法を解説』こちらの記事をご覧ください。


 

そして、こちらの記事をご覧になっている方で、

『給食調理員 妊娠』

このようなワードをネットで検索して、僕のブログに辿り着いた方もいるかもしれません。

今回はそんな方々の不安や悩みを少しでも減らせるように、

実際に、給食調理員で、産休・育休を取得し、元気な子どもを産んだ、僕の部下【Mさん】の、当時の心境、会社の対応、Mさんからのアドバイスなど詳しく話を聞いてみたので、まとめてみます。

 

Mさんの簡単なプロフィール
26歳で、給食経験が4年。役職はサブチーフ2年目。妊娠しなければ、翌年はその現場のチーフ候補でした。

 

 




妊娠が発覚した当時のMさんの不安とは?

・勤務地が遠く、通勤が遠かった。(約2時間)
満員電車が辛く、朝の通勤時は優先席も座れない。実費負担で毎日、グリーン車を使用。勤務地が遠いと、何かあったときに、かかりつけの産婦人科にすぐにいけないという不安。


・調理場は1~2月でとても寒かった。
妊婦は身体を冷やしたらダメだという不安。


・立ち仕事が多く、休憩があまり取れない現場だった。
立ち仕事はお腹が張りやすく、切迫早産の危険性も高くなるという不安。


・女性ばかりの現場で、重いものをもつことが多い。
重いものを持つと、切迫早産・流産になりやすい不安。


・もし悪阻が酷かったらという不安。
調理中の匂いに耐えられるのか心配。


・妊婦は仕事内容に制限が多い。
周りに迷惑をかけてしまうのではないかという不安。


 

あっくん
『お腹の中にいる赤ちゃんに、なにかあってからでは遅いので仕事をやめるべきなのか?』と、妊娠発覚当時は初めての妊娠だったのもあり、全てが不安だったそうです。

 


女性給食調理員Mさんが取った行動

【妊娠前の行動】

まずは上司に相談。

『結婚もして、落ち着いてきたので、そろそろ、子どもを考えています。』

『妊活を始めるので、なるべく家から、近い現場にしていただけませんでしょうか?』

と会社にお願いをする。

しかし、会社からは、

会社
異動については、妊娠してから、考えます。

 


【妊娠後の行動】

・会社に妊娠したと報告。

会社
申し訳ないが、人手不足で、すぐに異動は難しい、あと、3ヶ月、現状のまま頑張ってもらえないか?その後は、近くの現場に必ず異動させますので。

 

・現場にも、すぐに報告
安定期 (妊娠5ヶ月) に入ってから、報告する人も多いが、学校給食は力仕事か多いので、周りの方々の協力が必須。報告してからは、出産経験のあるパートさん達が、積極的に手伝ってくれた。現場の計らいで、なるべく、負担のかからないポジションにおいてくれた。

 

 

【現場での仕事内容】

下処理、切りもの、洗い物、揚げ物、オーブン、配缶作業、部下への指示出し等。

妊婦でも、できる仕事はたくさんありました。

 

あっくん
Mさんの場合、つわりも軽く、季節も冬だったため、揚げ物やスチコンなどもできたそうです。この辺りは個人差がありそうですね。

 

【仕事中に気をつけたこと】

・重いものは小分けにして運ぶ。

・寒さ対策 (身体中にホッカイロを身につけ、服も着込む)

 


真冬の寒さ対策については詳しくはこちらをご覧ください。


 


会社がしてくれた対応

子どもが産まれたら、お金がかかるから、出来る限り、産休・育休が取れるように、会社も配慮してくれました。副責任者という役職もあり、すぐに異動は難しいので、年度が切り替わる3ヶ月後に異動を確約。そして、3ヶ月後、家から40分ぐらいの100食の保育園に異動させてもらう。保育園でのポジションは、サブではなく、パート枠の部分。

デメリットとしては、土曜出勤が増えてしまったが、現場も近くなったことと、役職もパート枠で、保育園は学校給食に比べ、食数が少ないので、身体への負担が少なくなり、心身ともに気持ちに余裕を持てるようになったそうです。

そこの保育園で4ヶ月、勤務し、無事に産休・育休を取得。

 


仕事を続けてのメリット・デメリット?

 

【メリット】

◆安定期に入るまでは、仕事を辞めたくて仕方なかったが、会社の配慮により、職場の環境も働きやすくなり、家にこもってるよりは、良い運動になりました。

◆産後、社会から孤立してるように感じるが、戻る職場があるという安心感がある。

◆産休、育休の手当てが貰える。(以下、表をご覧ください)

 

専業主婦途中で仕事を退職する女性産休・育休を取得するまで働く女性
出産育児一時金
妊婦検診の助成
高額療養費
傷病手当金×
医療費控除(確定申告)
失業給付期間の延長××
退職者の所得税還付申告(確定申告)××
出産手当金×× ※一部例外あり
育児休業給付金××
児童手当
乳幼児の医療費助成
もらえる金額の目安約60万約120万約270万

※もらえる金額の目安はあくまで目安です。
※月給25万で計算されています。



【デメリット】

◆現場全体に気を使わせてしまうので、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

◆仕事が制限される。

◆妊婦は思ってた以上に疲れやすい。

◆給食という仕事は時間に追われている。
周りの配慮はあるものの、忙しいときは、人に手伝ってもらえない状況も多々あります。そのときは、無理してでも、自分で重いものを持たないといけません。そのあと、周囲に怒られます。無理をしないでと・・・(重いものが持てない、自分がもどかしい)

◆妊娠5~6ヶ月過ぎるとお腹が急に大きくなり、張りやすくなってくる。
その状態になったときに、仕事での中断が難しい。

◆トイレが近くなる
(トイレに行くたびに、着替えたり、標準的な手洗いをしたりと、面倒)

◆暑かったり、寒かったり、環境に大きく左右される仕事なので、体調管理が大変。

 


女性給食調理員の妊婦さん方へのアドバイス

Mさんの場合、初めての妊娠で色々なことが不安でした。

重労働な学校給食調理員。ハッキリ言って、この仕事は妊婦さんに、向いていないと思います。

今まで通り働くのは難しく、周囲の協力が不可欠です。申し訳ないという気持ちでいっぱいになるけど、『すみません』じゃなくて、『ありがとう』って、言ってねと、周囲から怒られたことも多々ありました。ですから、周りへの感謝を忘れないこと。

そして、お金も大事です。割りきって、最後まで働くのも1つの選択です。仕事を途中で辞めるのと、辞めないのでは、100万近く、もらえるお金も変わってきます。しかし、赤ちゃんの命はお金に変えられません。キッパリ退職する覚悟も立派な選択だと思います。

 


まとめ

妊娠して、学校給食調理員という仕事を続けていくのは、とても大変なことです。Mさんの場合は職場の環境に恵まれたが、全員が必ずこれに当てはまるかと言えば、そうとも言えません。

まずは上司や会社にすぐに相談すること。そして、現場の方々にも相談しましょう。

Mさんが仕事を続けて、よかったといえるのは、あくまで結果論であり、無事に元気な子どもが、産まれてきてくれたから言えることです。赤ちゃんに、もしものことがあったら、例え、それが仕事が原因じゃなくても、給食調理員を辞めなかった自分を後悔していたかもしれません。

旦那さんに経済力があるのならば、すぐにでも、辞めるのが無難な選択です。

学校給食調理員は、いくらでも、替えがききますが、お腹の中の子を無事に産むというのは、【あなたにしかできない大事な仕事】だということを忘れないでくださいね。

 


追記:女性給食調理員Mさんのその後は?

Mさんは、その後、育休後に仕事を復帰する予定でしたが、仕事復帰前に妊娠が発覚してしまい、会社にすぐ報告すると、赤ちゃんがいる妊婦を社員枠として、働かせられる現場がないと言われ、会社から退職を余儀なくされ、退職してしまいました。

確かに、緊急時に、お子さんの面倒をみてくれる方(祖父、祖母)が近くにいなければ、お子さんの具合が悪くなれば、早退しないといけないですし、休みも取らなければなりません。

 

あっくん
現場には、非常に迷惑な存在になることは間違いありませんね。

 

かと言って、現場の人達も迷惑オーラを全面に出しても、それはマタハラになるので注意して下さいね。

 

マタハラ(マタニティハラスメント)

働く女性が妊娠・出産を理由に解雇されることや、妊娠・出産にあたり、職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントのこと。

 


給食業界での妊婦・育児の現状

妊娠・出産・育児と仕事を両立しながら、働く女性が増えていくなか、

現在の給食業界では、妊婦さん、小さなお子さんがいる、それだけのことで、とても肩身が狭い想いをしながら、働いていかないといけないのが、現状であり、仕事をしていくのも続けていくのも厳しい職場環境です。

これは給食業界に限らないことかもしれませんが、こんな社会だからこそ、子育てが難しく、少子化が止まらないのだろうとつくづく思ってしまいます。

働きながら妊娠・出産・育児をする権利は、労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法により、
守られているにも関わらず、日本の社会がまだ追いついていないのです。

Mさんは現在は、年子ママとして、専業主婦をやってます。

育児に追われ、日々奮闘していますが、子どもを保育園に預けるために、そろそろ仕事を探しているところだそうです。

Mさんは、また、給食調理員として復帰するのか?それとも、違う業種で働くのか?

また、進展があれば、更新していきたいと思います。