給食時間に嘔吐発生!嘔吐物がついた食器等の処理や消毒方法について解説
今年もノロウイルス流行期 (10〜2月) に入りました。
新型コロナウイルスの感染症予防対策により、インフルエンザやノロウイルスにかかる方が例年に比べ、かなり少ないとのことですが油断はできません。
こどもは大人と違って、感染性胃腸炎に限らず、嘔吐症状が出やすいからです。
この仕事をしていると、しばしば出くわす嘔吐物が付着した食器の取り扱い。
あなたはしっかりと嘔吐物により汚染された食器対応について理解していますか?
正しい消毒方法を把握できてますか?
ひとつ間違えると、【2次感染→食中毒】と大事故に繋がりかねません。
今回は嘔吐物がついた食器の処理や消毒方法について、解説していきます。
・嘔吐対応マニュアルについて
・嘔吐物により汚染された食器の消毒方法
・次亜塩素酸ナトリウムの希釈量について
目次
給食時間中に生徒が嘔吐!?学校・調理員それぞれの対応について
汚染された食器はどうすれば良いのか?
これは各学校で対応方法が決まっています。
◆汚染された食器は廃棄する
◆汚染された食器は調理場外で調理従事者以外の方により、適切な消毒処理された後、給食室に返却される
上記の内容が嘔吐物が付着した食器の基本的な流れになります。
Ⅰ. 担任による嘔吐発生時の対応マニュアル
いつ嘔吐が起きてもよいように、教室側では嘔吐物処理セットなどが用意周到に準備されていることが望ましいです。
・使い捨て手袋
・使い捨てエプロン
・使い捨てマスク
・0.1%次亜塩素酸ナトリウム
・新聞紙やペーパータオル
・大きめのビニール袋 (数枚)
嘔吐発生時【担任の行動手順】
①新聞紙やペーパーで嘔吐物を覆う
②嘔吐物から他の児童を遠ざける
③応援の職員を呼ぶ
④嘔吐した児童を着替えさせ、保健室へ
汚れた衣服はビニールに入れて自宅に持ち帰らせる
⑤消毒液を使用
汚物が覆われてる新聞紙やペーパーに消毒液をかけて放置し、その後、ビニールに入れる
嘔吐物で汚染された床や周辺を消毒液を含ませた新聞紙やペーパーで浸すように拭いて10分程、置き、水拭きする
汚染された食器等があれば、消毒する
⑥嘔吐処理で出たゴミは二重の袋に入れて、そのままゴミ捨て場へ
⑦うがい・手洗い
使用した流しや蛇口は消毒する
気をつけてもらいたいことが、担任は汚染された食器と汚染されていない食器を一緒にしないということ。これを一緒に返却してしまうと、食器を介して、感染が学校中に拡がってしまうリスクがあります。
必ず汚染された食器は別で消毒をしなければなりません。
Ⅱ. 嘔吐物が付着した食器の消毒方法
次に汚染された食器の消毒方法について、説明していきます。
①使い捨ての手袋とマスク、使い捨てガウンやエプロンを着用し、窓を開け、換気をする。
②食器に付着した嘔吐物をベーパータオル等で拭き取る。
③ビニール袋に、汚染された食器が浸るよう、1,000ppmの次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)の消毒液を入れ、その中に食器等を浸け置きする。
④5~10分放置した後、食器を袋から取り出し、すすいでから、調理場(給食室)に返却する。
使用した消毒液は汚物として処理し、ビニール袋は汚物として廃棄する。
(流し等を使って消毒液を処理した場合は、 その後消毒をする)
2Lの空のペットボトルを用意しましょう。
【5%の次亜塩素酸ナトリウムの場合】
原液40mlに水を加え合計2Lにする。
※40mlはペットボトルのキャップ8〜9杯
【6%の次亜塩素酸ナトリウムの場合】
原液35mlに水を加え合計2Lにする。
※35mlはペットボトルのキャップ7〜8杯
【10%の次亜塩素酸ナトリウムの場合】
原液20mlに水を加え合計2Lにする。
※20mlはペットボトルのキャップ4〜5杯
↑この一連の流れを担任の方々はしっかり把握しないといけません。
テンパってしまっているのかもしれませんが、たまに全く把握していない担任の方もいたりします。
Ⅲ. 給食調理員による汚染食器の対応
調理員もこれらの消毒方法を把握して、ここまで消毒がされているかどうかを確認してから、食器を受け取ってください。
ここから先の記述は調理員側の対応方法になります。
調理員サイドの対応
①汚染された食器が消毒されているか確認してから受け取る
食器の置き場所を決めておくと良いです。
受け取ってから、食器を洗うまでの間、給食室側でも0.1%の消毒液に浸けとくところもあります。
②食器を洗う
汚染された食器は学校側で消毒はされていますが、一番最後に洗剤で洗います。
その際、洗浄に使うシンクは1か所に決めて、作業しましょう。洗浄作業を行う際は、マスク・手袋を必ず着用して下さい。
③使用後のシンクの消毒
シンクは洗剤でよく洗い、流水で流した後、 200ppm次亜塩素酸ナトリウムをシンクのオーバーフローまで満たし、5分間放置した後消毒薬を抜き流水で流す。
※水返し部分など消毒液に触れない部分は、清潔な不織布等 で消毒液をのばす
④使用したスポンジの消毒
スポンジは薬液消毒後、良く乾燥させましょう。使い回したくなければ、少し古めのスポンジで洗浄して、そのままビニール袋などに入れて廃棄してしまうのもありです。
【5%の次亜塩素酸ナトリウムの場合】
100Lの水に400mLを入れる。
【6%の次亜塩素酸ナトリウムの場合】
100Lの水に330mLを入れる。
↑各学校で、汚染専用シンクに入る水の量を予め確認しておきましょう。
適切な消毒溶液の作り方
消毒液 (次亜塩素酸ナトリウムの希釈液) について
ノロウイルスに対して有効な消毒は、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒方法になります。
しかし、市販されている次亜塩素酸ナトリウムの塩素濃度は約5%のものが一般的で、これを0.02~0.1%に薄めて使用しないといけません。
↑ちなみに僕の現場の塩素系漂白剤の塩素濃度は6%でした。
一見、濃度が濃ければ、消毒効果が上がり、ノロウイルスに対して有効ではありますが、その分、腐食作用・変色・劣化などを起こしてしまうので高濃度なものはオススメしません。
適切な濃度に希釈して使用することが望ましいです。
※酸性タイプの商品や酢などの酸性物質が混ざると、急激に分解して危険な有毒な塩素ガスが発生する場合があります。取り扱いには十分に気をつけましょう。
次亜塩素酸ナトリウムの希釈表 | ||||
用途 | 必要な濃度 | 原液の濃度 | 1リットルの消毒液を作成するための分量 | |
原液 | 水 | |||
嘔吐物や糞便で汚染された場所・物 | 0.1% (1,000ppm) | 5% | 20ml | 980ml |
6% | 18ml | 982ml | ||
10% | 10ml | 990ml | ||
その他の場所、物に対して | 0.02% (200ppm) | 5% | 4ml | 996ml |
6% | 3.6ml | 996.4ml | ||
10% | 2ml | 998ml |
職場で使用しているピューラックスS
次亜塩素酸ナトリウム6%を含有する殺菌剤(食品添加物)です。ご家庭にも1本あると重宝します。
まとめ
今回は嘔吐物がついた食器などの対応について解説させていただきました。
全てのウイルスにいえることですが、感染を拡げないことはとても大切なことです。
しっかり嘔吐時の消毒マニュアルを理解して、仕事に挑みましょう。
学校に限らず、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭でも、頻繁に嘔吐が発生しているかと思います。嘔吐が起きた際に、いつでも対応できるようにご家庭でも嘔吐処理セットを準備しとくのがオススメ。
自分でひとつひとつ準備するのが面倒くさいという方のために、嘔吐処理セット等がネットでも販売されています。
次亜塩素酸ナトリウムの希釈液を毎回作るのが面倒だと感じる方のためにも、こちらのノロキラーとなる商品も発売されています。
↑ただし、この商品は200ppmの次亜塩素酸ナトリウムなので、日常的な消毒にはオススメですが、嘔吐時の消毒には殺菌力が弱めで不向きといえます。
↓必ず家庭用塩素系漂白剤を1本は常備しときましょう↓
備えあれば憂いなし
いつ起こるかわからないのが嘔吐。
突然の出来事に本人はもちろん周囲の方々もパニックに陥りやすいです。
そんな時でも冷静に落ち着いて行動することは極めて重要なので、この機会に理解を深めといてくださいね。
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